SHARE

備後地区の地場産業である繊維産業の中で、ビンテージブランドからコレクションブランドまで幅広く縫製を手掛けている「株式会社R＆D ファクトリー」。工場にお邪魔するとさまざまな種類のミシンが並び、作業にあたる皆さんの表情は真剣そのもの。

縫製業と聞くと、「職人気質で気難しそう」「やったことがないから不安」「ミシンの扱いが大変そう」……なんて思ってしまう人も多いのではないでしょうか。

しかし、R&Dファクトリーはなんと未経験者大歓迎！「ビンテージデニムのモノづくりをもっと多くの人に知ってほしい」という社長の想いのもと、未経験で活躍しているスタッフが多数在籍しているのだそうです。

今回は、2児の母としてパートで入社し正社員になったという山本淑恵さんに、R&Dファクトリーでの仕事内容やワークライフバランスについて話を聞きました。

未経験でビンテージデニム業界に飛び込んだ
“シンプル”な志望動機

――入社5年目の山本さんは、最近パートから正社員になったと伺いました。入社時、縫製業は未経験だったとお聞きしたんですが…。

はい、今までは医療事務の仕事をしていました。縫製工場の仕事はむしろ、これまで求人票で積極的に避けてきた業種でしたね。

――本当に未経験なんですね…（半信半疑ですみません）！なぜR&Dファクトリーに入社しようと思われたんですか？

近くて通いやすかったから。これに尽きますね。以前は片道30〜40分かけて、毎日渋滞に巻き込まれながら職場に通っていました。

近場で働きたいと思ったのは子どもが小学校に上がるタイミングだったから。家の近くの仕事を探していて、R&Dファクトリーに出会いました。

――未経験であることに不安はありませんでしたか？

不安はもちろんありましたよ！裁縫が得意なタイプではありませんでしたし、「本当にできるのかな」と…。

それでも働いてみたいと思ったのは、求人票に「経験不問」とあったから。とにかくその言葉を頼りに面接へ行きました。

ビンテージデニムの縫製って何をするの？
最初はアイロンがけからスタート

――仕事はどうやって覚えていきましたか？

ミシンも不慣れだったため、最初はアイロンがけから教わりました。徐々にできる範囲を広げ、気付けばだいぶ仕事が身に付いていました。

――毎日同じミシンの前で作業するというイメージですか？

受注や製作状況によって異なりますが、だいたい決まっている方もいますしあちこち移動して作業する方もいますね。

たとえば私は今、デニムのコインポケットの部分にアイロンをかけていますが、午前中は奥にあるロックミシンで作業していました。工場長の江草さん、生産部長の西川さんからの指示を受け、全体の流れに応じて作業が進むイメージです。

――なるほど。ちなみに今、山本さんの作業範囲はどれくらいあるのでしょうか。
アイロンがけとミシン、ロックミシン、巻き縫い、ボタンホールの穴あけなどができるようになりました。この中で最近習得したのは「巻き縫い」です。だいぶできるようにはなってきましたが、まだ手こずることがあって難しいです。

でも入社当時から振り返ると、いろいろなことができるようになったなと思います。まだやったことのない工程もあるので、ほかの作業ももっとできるようになりたいですね。

山本さんのとある1日

最初からできる人はいない。大事なのはチャレンジを重ねること

――R&Dファクトリーでの仕事のやりがいを教えてください。
自分が関わったものが製品として形になることです。「こんなに立派な服の一部に携わっているんだ」と気付いて、結構すごい仕事をさせてもらっているんだなと実感しています。

最初は、自分の作業がどんな形になるのかイメージできませんでした。全体像がわからなかったんですよね。でも日々アイロンやミシンの前に立っているうちに、だんだん各パーツの役割がわかってきました。

「ここは私が担当した部分」ということもわかってきて、やりがいを実感できるようになりました。

――自分の仕事が製品として形になるってうれしいですよね。ご自身がデニムを買うときなんかにも、他製品を意識されたりしますか？
そうですね。街で買い物しているときにほかの商品の縫製をチェックしている自分がいて、働く前とだいぶ意識は変わりました。

――とはいえやはり大変なことも多いのでは？
新しい技術を覚えることについてはもちろん苦労しましたが、結局回数を重ねることが一番の近道なんですよね。生地によって伸び縮みがあったり、以前はできたのに今回はなぜかうまくいかないなんてこともある。

1回できたくらいでは習得できませんし、最初から慣れている人はいません。何度もチャレンジして徐々に慣れて、いつの間にか上達していくのだと思います。

未経験は勇気がいるけど…。飛び込んで知ったビンテージデニムの「新しい世界」

――パートから正社員になった理由を教えてください。
志望動機と重複してしまうのですが、「近くて通いやすいから」ですね。

――子育てをしながら働くとなるとやはり「通いやすい立地」というポイントは欠かせないですよね。
そうなんです。通勤時間ってとても重要で。社長はじめ、先輩スタッフの皆さんがその点をわかってくださるのでとても働きやすいですし、だからこそ正社員になって今後もがんばっていきたいと思えました。

――プライベートも大切にできる環境というのは魅力です。
子どもの行事などで休みを申請できますし、子どもが熱を出した場合も臨機応変に対応していただける。仕事は完全土日休みですし、子育てをしている人でも働きやすいと思います。

看板ねこの存在にも癒やされる

（写真左）社員12名のアットホームな会社です　
（写真右）建物はかつてい草を扱う会社でした

――山本さんから見て、R&Dファクトリーはどんな会社ですか？
社長がスタッフのことをよく見てくれているので、働く上で困ったことがあっても相談しやすい、風通しの良い職場だと思います。

また“ビンテージデニム”というひとつの伝統産業を牽引していて、世の中にあるアパレル製品の中でも上質で良いものを作っている会社なんだ、ということがやっとわかってきました。

――今後の目標を教えてください。
もっといろいろな作業ができるようになりたいです。そうすれば、製品ができあがる工程の全体を見回すことができて視野が広くなると思うので。

――R&Dファクトリーへ入社される方に向けて、メッセージをお願いします。
縫製業って、未経験だと選ぶのに勇気のいる仕事ですよね。でもいつもと異なる目線（私だったら通いやすさ）で仕事を選んでみると、新しい世界を知ることができて結構楽しいんじゃないかと思います。

私も最初は不安でした。でもできるところから徐々に仕事を覚えていけたのはありがたかったです。皆さんもぜひ視野を広げて、未経験業種にもチャレンジしてみてください。

インタビューを終えて

「縫製業はまったくの未経験でしたが、視野を広げてみて良かったです」。未経験だった縫製業に飛び込むことで、自分にとって働きやすいスタイルを見つけた山本さん。

入社の動機は人それぞれ。R&Dファクトリーには、そんなさまざまな状況の求職者たちと一緒にモノづくりをしていきたいという懐の深さを感じました。

家庭の時間をあきらめなくてもいい働き方を実践しながら、一方ではビンテージデニムという伝統産業を担う職人として、山本さんは今後もますます活躍されていくことでしょう。

求人募集要項

求人への応募はこちら