こんにちは。ライターのかりんです。
尾道に移住した同世代と話をしていると、「古民家をゲットしたのでこれからリノベーションをはじめる」「これから古民家を買おうと思っている」という会話をよく聞きます。
新築のマイホームを建てるのではなく、古民家リノベーションが選択肢のひとつになっているのは、空き家減少の観点からとても素晴らしいことだと思います。
古いものを残しながら、自分の理想の暮らしをつくることができる古民家リノベーション。古民家の購入は最初のステップであり、その後の暮らしを左右することになるかもしれない、大事な決断です。
連載第二回目は、私たちが古民家購入に失敗しないために、重視したポイントやチェック方法を大きく3ステップに分けてご紹介します。
古民家購入時のチェックポイント3つ
今の古民家に出会うまでに、5軒くらいは内見したよね
内見を重ねるうちに、状態の良し悪しがわかるようになってきた気がする
前回紹介したとおり、不動産会社を訪ねたり、近所の人に聞き回って古民家の情報を探した私たち。初めて古民家の中に足を踏み入れた時は、「家が大きい!昔ながらのつくりだ!」
と感動しましたが、床がフワフワしていたり、柱が傾いていたり、だんだんと家の状態を把握できるようになっていきました。
古民家購入時の内見の際に重点的にチェックしたポイントは、リノベーションをする上で費用が左右されやすい1.雨漏り、2.シロアリの被害、3.水回りと電気の配線の3点です。
1:雨漏り 天上のシミには要注意!!
天井を見上げてみて、染みや不自然に覆われている箇所があったら、雨漏りの可能性が高いです。さまざまな要因が考えられますが、屋根が壊れていて修復が必要な場合は費用がかかるため、チェックしておいたほうがいいと思います。
2:シロアリ被害 空き家の期間が長いと要注意
木材に含まれる成分を栄養源とし、湿気のある土や木材を好むシロアリは、放置していると瞬く間に家じゅうの木材を食べ尽くしてしまいます。空き家の期間が長いと空気の入れ替えが行われないため、湿気が溜まりシロアリが発生した形跡が見られることも。内見時に柱をコンコンと手で叩いてみて空洞音がする場合は、シロアリ被害を受けている可能性があるので要注意。床の基礎や柱を食べられてしまっていると、補強のために基礎を交換する必要があります。
3:水回り・電気配線 現代とは電気の「配線方式」が異なる場合も
生活する上で欠かせない水道と電気。古民家が建てられた当初のままリフォームがされていない物件の場合、不具合が起きている可能性があります。
また、水道は備え付けられている井戸や浄化槽をそのまま使うことができるかの確認が必要。
電気は、昭和30年台までの古民家には碍子(がいし)を利用した「碍子引き配線」が採用されていますが、家電製品をたくさん使う現代の生活に合わせた「屋内配線方式」に変える必要があります。
水回りと電気配線の工事は、専門業者に依頼するのが一般的です。
古民家を購入する前に「プロ」に見てもらおう
振り返ってみると、気をつけるべきポイントはだいたい分かるけど、リノベーションをする前は知識がないので何も分からなかったよね
構造的に問題がないかどうかは、家のプロである建築士さんや大工さんに意見を聞いたね
インターネットやYouTubeで古民家リノベーションの先人たちから知識を得ても、いざ本物の古民家を目の前にすると、何に気をつけるべきか分からないこともしばしば。古民家リノベーションは簡単ではないことを体感します。
なので古民家の購入前後に、工務店や大工さんに実際に家を見てもらうのがおすすめです。
家の図面がある場合はおおよその構造は把握できますし、図面がない場合は図面を起こしてもらう際に一緒に家の状態を見てもらえます。水道や電気、シロアリに関しても、専門業者と付き合いのある工務店や大工さんに一度見てもらった上で、専門家を紹介してもらえるはずです。
先ほど記載したように、たとえばシロアリの被害がある場合は、それが家を支える大黒柱なのか、そうではないのかが分かるだけでも、リノベーションする上での工程をイメージできるようになります。
「プロ」って誰に見て貰えばいいの?
古民家を購入して失敗だったという事態を防ぐためには、どの専門家に聞いたらいいかを知っておくことが大切だよね
そうだね。そうは言っても、専門家に見てもらうときの費用感も素人には分からないよね
私たちは費用節約のため、工務店には依頼せず自分たちでリノベーションする道を選びましたが、専門家による作業が必要な場面に遭遇した際は、作業をお願いする前提で専門家の意見を聞きました。
専門家に見てもらうだけの費用をお支払いしたことはありませんが、作業を前提として専門家に依頼した、私たちのケースを参考としてお伝えします。
工務店・大工さん
お付き合いがあるかどうか、どこまでを見てもらうかによって費用は変動すると思います。
ざっくり見てもらい、意見をもらうだけであれば費用はかからないこともあるかもしれませんが、私たちは図面を起こしてもらう際に費用をお支払いしました。
一般的には、総工事費の「5%から15%」が図面作成費用の相場と言われているようです。
シロアリ
ホームセンターや折込チラシでシロアリ専門駆除のチラシを見かけたので、問い合わせをしてシロアリ被害の点検をしてもらいました。
点検だけであれば無料と案内されていることも多いため、まずは専門業者に確認してもらい、どのような対応が必要なのかを聞いてみることをおすすめします。
その後、駆除が必要な場合は見積もりを出してもらえますが、だいたい1坪あたり1万円前後であることが多いようです。
水回り
尾道の古民家では、井戸水を使っていることも多く、義務ではないですが水質検査の実施はしておきたいところ。すべての項目を検査する場合の費用は約5万円程度です。
私たちが検査をした2023年時点、尾道市では「飲用井戸水の水質検査補助金」を設けていて、水質検査に要した費用の2分の1以内(上限4000円)の補助があました。一度お住まいの市区町村に問い合わせをするといいと思います。
何かと費用が嵩む古民家リノベーション、すこしでも節約ができるのはありがたいですね。
古民家リノベーションと言っても、家によって状態は異なります。築年数が経っていても、直前まで人が住んでいた家であれば、手直しがそこまで必要がないことも。
一方で、現代の手法で建てられた築年数が浅い家でも、空き家の期間が3年ほどあった場合は、湿気が溜まっていたり、蜂の巣が作られていたりと、問題が発生していることもあります。
古民家の購入を検討されている方は、内見時にしっかり確認することはもちろんですが、築年数だけではなく、空き家の期間を知ることもひとつの指標になります。ぜひ、そういった目線でも検討してみてください。
古民家作業の様子を動画でご覧になりたい方は、YouTubeを見ていただければ、少し参考になるかもしれません!
ふたりが古民家で始めたカフェ「itoma」
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