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尾道で築65年の古民家DIYしてみた【尾道・島暮らし夫婦の古民家リノベ教室-1】
かりん

DIYで古民家のリノベーションをはじめて2年が経ったね。

大変だったけどいい経験になったよね。

こんにちは。ライターのかりんです。
2021年2月に尾道の向島に移住して、夫婦ふたりでDIYで古民家をリノベーションしてきました。夫の実家がある向島に移住し、古民家のDIYをすることになった私たちですが、数年前までは普通の会社員だったので、当然ながらDIYは未経験でした。

現在リノベを終えカフェを始めました(記事末に情報)

リノベを終えた(カフェにする前)古民家はこんな感じ。

DIYで古民家をリノベーションすることについて、楽しそう、と思う方もいるかもしれません。もちろん楽しさもあるのですが、予想以上に大変で、時間もかかります。さらに、古民家DIYに関する参考文献は意外と少なくて、途方にくれてしまうこともしばしば。

そこで、私たちの経験をシェアする連載を始めさせていただくことになりました。楽しいことばかりではなく、失敗も経験した私たちの経験を紹介することで、みなさんの古民家DIYのハードルを少しでも下げることができれば嬉しいです。

第一回は私たちの古民家リノベーションの流れを1.物件探し2.専門家に相談3.リノベーションの3ステップでご紹介します。

1.物件探し/最初で最大のハードル

 

地方都市は人口も減っているし空き家が多いから、家はすぐに見つかるんじゃないかと思っていたよ。

 

かりん

私たちは移住して2ヶ月くらいで納得できる家に出会えたけど、人によっては数年間かかる人もいるみたいだよ。

移住したい土地が見つかっても、すぐに古民家に出会えるかどうかは人それぞれ。タイミングやご縁によって家探しに要する期間は変わると思います。これまで尾道への移住者や、別の地域に移住した人とも情報交換をする機会がありましたが、移住してすぐに家に出会うことができた人は多くない印象です。

決して簡単ではない家探し。私たちは、主に3つの方法で家を探しました。

私たちが出会った築65年の古民家

地域の不動産会社へ相談

大手不動産情報サイトで物件を探す人も多いと思いますが、地方移住で見落としてはいけないのが地元の不動産会社の情報。長年地域に根ざしているからこそ、ニッチな情報を知っていたりもします。
私たちも地元の不動産会社に突撃訪問し、「移住してきて、空き家を探しているんですが…」と相談したところ、「最近、向島に移住する人が多くて、今は物件がないんです」とのこと。

その後も定期的に不動産会社のウェブサイトで情報をチェックしつつ、次の方法を試すことにしました。

空き家バンクで情報収集

多くの自治体では市町村ごとに「空き家バンク」制度を運営しています。家を売りたい・貸したい人と、買いたい・借りたい人をつなぐオンライン上のマッチングサイトのようなもの。尾道で2007年に発足した「尾道空き家再生プロジェクト(通称空きP)」は、成功事例も多く全国的にも知られています。

移住する前から空きPの活動は知っていたので、個別相談に行かせてもらいました。空き家バンクのウェブサイトの使い方などを教えてもらいましたが、残念ながら向島は対象地域ではなく、空き家バンクでの家探しは断念。

尾道の山手エリアで検討されている人には心強いので、一度相談に行ってみるといいと思います。また、尾道でも御調と因島には空き家バンクがあるので、地域を問わない方は、まずは聞いてみるといいかもしれません。

古民家を受け継いだ当初の様子。残地物の処分からスタートです。

歩き回って住民に聞く

3つ目は、近所を歩き回って相談してみること。
不動産会社と空き家バンクを使えばある程度家の情報が集まると思っていましたが、向島というエリアに限定するとなかなか物件が見つからず、想像以上に家探しの困難さに直面しました。

でも、向島を歩き回れば空き家と思われる物件はたくさんあります。きっと表には出ていない物件があるはずだと思い、夫の実家のご近所さんに「家を探している」という旨を伝えたところ、有力な情報を教えていただくことができました。

とは言っても、空き家の持ち主が県外に住んでいたり、家主の連絡先が分からなかったりと一筋縄にはいきませんが、情報を知っている人に出会える可能性もあるため、住民の方や先輩移住者に聞いて回るのがなんだかんだ一番だと思います。
私たちは、持ち主の方が向島在住だったので直接相談したところ、私たちのほうで荷物の処分や手続きを負担することを条件に快諾していただきました。

物件探しは古民家リノベの最初にして最大のハードルですが、きっとご縁のある物件に出会えるはず。諦めないでがんばってください。

2:専門家に相談/家の状態をチェック

 

いよいよ物件が見つかったら、古民家リノベのスタート!一番初めはなにから取り掛かったっけ?

かりん

本格的にリノベを始める前に、まずは古民家の状態を確認したよね。作業する前に確認してよかったと思う。

物件が決まってすぐにリノベーションを開始できるかどうかは、家の状態によりけり。物件を決める前に家の状態がある程度判断できると良いのですが、荷物の片付けを終えて初めて家の全貌が明らかになる場合もあります。

私たちは荷物の処分が終わった段階で、工務店の方に図面の計測を依頼し、同時に家の状態を見ていただきました。シロアリによって柱が腐っている箇所や、壊しても問題ない壁などを教えてもらい、改修箇所を全てお任せした場合の見積りを出していただきました。しかし、私たちの予算では厳しかったため、自分たちで修理することを選びました。

シロアリ被害が特に大きかった箇所。絶望しました…。

また、古民家は水道や電気設備が昔の規定のままの場合が多く、それらの工事には十万円単位で費用がかかる可能性もあります。さらに水道や電気工事は資格を持った人に作業してもらう必要があり、一番初めに水道・電気工事の専門家に見積もりを依頼し状況を教えてもらうことで、リノベーションの計画も立てやすくなると思います。

工務店や業者に見積りをとった上で、DIYで修理できそうな箇所を整理してみましょう。ほとんどの材料はホームセンターに置いてあるので、概算費用の計算ができると思います。
プロに任せた方が確実に早く、きれいに仕上げてもらえますが、金銭的な余裕がない人やDIY経験を積みたいという人は、肝心な部分はプロにお願いしつつ、できる範囲でDIYをするのもいいと思います。

全部屋の50枚の畳を剥がしたりと、自分たちでやれる下準備はやりました。捨てるのもお金がかかるため、自分たちで小さく切ったりもしましたが、大変でした。

3.DIYでリノベ作業/4つの段階に分ける

 

かりん

古民家リノベって予想以上にお金と時間がかかったよね。

そうだね。水道や電気工事の費用も合わせると、約400万円くらいかかったよね。

専門家のアドバイスを受けながら、ある程度の見通しが立ったらいよいよ古民家リノベのスタートです。

まずは、古民家の定義についてですが、私たちの家は、登記上では昭和33(1958)年築の家。石の上に柱が立ち、金物は使わずに木材を組み立てる伝統工法でつくられているので、古民家と言えるかと思います。

私たちは、屋根瓦と天井、一部の柱、浴室以外はほぼリノベーションしたのですが、大きく4つの段階に分けて取り掛かりました。

①床基礎の修理
②フローリング材の設置
③腐っていた柱の交換、壁づくり
④壁に漆喰塗り

①床基礎の修理

シロアリ被害を確認するためにも、いったん畳を剥がして床の基礎を丸出しにしてみたところ、湿気の溜まりやすい箇所は太い木でも腐っていました。また、床を水平にするためにも、「根太」と呼ばれる基礎の2段階目から新しい基礎に張り替えました。約50畳分をやり直したので、しばらくは床のない日々が続き、終わりが見えず大変でした。

横に並んでいる木材が「根太」と呼ばれるもの。一番下の基礎「大引」以外はすべて基礎をやり直しました。

②フローリング材の設置

床基礎が完了したら、無垢のフローリング材を敷き詰めました。正規のフローリング材を買うと費用がかかるため、地元の材木店でB級品を安く購入させてもらいました。

B級品とは言え、特に気になる汚れなどはありませんでした。

③腐っていた柱の交換、壁づくり

床基礎の修理と並行して、同じくシロアリ被害を受けて腐っていた5本の柱の入れ替えもDIYでやりました。初回は工務店にお願いしましたが、なんとかやっていけそうだと判断して決行しました。さらに、柱を交換するために面する壁も一度解体する必要があり、柱交換後は壁の復旧作業も。材料費節約のため、伝統工法の竹小舞と土で作り直しました。

古民家の壁は土の中に竹が編み込まれています。今の時代にこの方法で壁を作る人は少ないと思います。

④壁に漆喰塗り

一通りの作業を終えたら、壁に漆喰を塗っていきました。漆喰とは消石灰を原料に作られる壁材で、調湿や防臭効果があると言われています。古民家の壁は土のままであることも多く、薄暗い色である上に埃が舞いやすいことも。

迷わず漆喰塗りを決意しましたが、既製品は高いので粉の状態で漆喰を買い、水を加えて練るところからやりました。漆喰の購入量が多すぎて、左官業者と間違われて宛名に「中鶴左官様」と書かれて漆喰が届いたのは良い思い出です。

漆喰を塗る様子。家中の壁を漆喰にしたので、調湿効果を感じます!

まとめ/古民家リノベの知識はどこから?

この4つと同時並行でトイレを設置したり、窓や網戸を綺麗にしたり、細々した作業を進めていました。週末を使って少しずつ作業をしたため1年半ほどかかりましたが、まとまった時間を取れるのであれば、もう少し短縮できるかもしれません。そうは言ってもずっと作業をしていても飽きてしまうので、息抜きを挟みつつ、地道に進めていくことが大事だと思います。

よく、「どうやってリノベーションの知識を得たの?」と聞かれることもありますが、ほとんどネットの情報です。たまに夫は専門的な文献を読んだりもしていましたが、主にはYouTube。デザイン系はPinterestを見ることもありました。

リノベーションは家の状態によるので、全く同じ状況の参考には出会えないかもしれませんが、ネットに載っている情報を集めれば、素人でもDIYで古民家をリノベーションすることができました。

古民家作業の様子を動画でご覧になりたい方は、YouTubeを見ていただければ、少し参考になるかもしれません!

 

ふたりが古民家で始めたカフェ「itoma」

 

この記事を書いた人

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かりんライター

結婚後、夫婦で会社を退職し、ワーキングホリデービザを使ってカナダで生活。帰国後、譲り受けたことをきっかけに夫の出身地である向島に移住。古民家セルフリノベーションの様子はYouTubeに投稿中。
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