こんにちは!東京から尾道に移住してきて約1年半、これまで知らなかった備後地方の産業に興味津々のライター・安藤です。
この記事は、“ビンテージデニム”の縫製を手がける「株式会社R&Dファクトリー」にお邪魔し、会社の雰囲気を探っていくという企業訪問レポートです。
求人票を見るとこちらの会社、未経験者の採用を積極的に行っているとのこと。いやでも、ビンテージデニムは備後地方の伝統産業だし、縫製って専門職だし、本当に未経験者でもやっていけるの…?
今回は未経験者を代表し、安藤が縫製現場の裏側を徹底調査!仕事に関するアレコレについて尋ねてきました。
有名ブランドも手がける。ビンテージデニム縫製会社「R&Dファクトリー」ってこんな会社
体験入社スタート
今日はよろしくお願いします!まず基本的な質問なんですが、ビンテージデニムってどうやって作られているんですか?
デニム生地を縫製して完成するものや「洗い」でビンテージ加工して古着っぽくするものなど、ビンテージデニムといってもいろいろです。基本的にR&Dファクトリーでは縫い上げるまでの工程を請け負いますが、オーダーや取引形態によっては洗いの工程までハンドリングすることもあります。
洗ったものと洗っていないもの、比べてみると手触りが全然違いますね。洗ったものは少しクタッとしています。
さも何年も履いたかのような風合いも、全部加工で表現するんですよ。
クライアントはアパレル企業になるんですか?
アパレル企業、セレクトショップ、OEMメーカーなどさまざまです。コレクションに出展している国内の有名ブランドとも仕事しています。
有名ブランドと仕事ができるんですね…!
工場で扱う製品はジーンズやGジャンがメインなんですか?
そうですね。でもボトムスもパンツ、オーバーオール、スカートなどさまざま。デニム小物などを作ることもあります。
チノパン(チノパンツ)やカーゴパンツも、扱おうと思えばできるんですよ。でも今はビンテージデニムに特化しようとしているところなので、メインはやはりデニムです。
1960年代製のビンテージミシンも現役!熟練工の縫製技術を間近で見学
次は、ミシンについて教えてもらいます。“工場で一番の熟練工”という工場長の江草さんが、実際の縫製作業を見せてくださいました。
うちの特徴は1960年代製のビンテージミシン(上写真)が現役で活躍していること。今や市場にはなかなか出回っておらず、1台300万円ほどする希少価値が高い代物です。このミシンでは裾の「巻き縫い」ができます。
では縫っていきますね。
早っ…!瞬く間に縫い上がっていきますね。カメラのシャッターがついていきません!
あっという間に縫い上がってしまった…。これが熟練工の技…。
通常のミシンを使えばまっすぐフラットに仕上がりますが、ビンテージミシンで裾を巻いた方がより綺麗に「アタリ」が出るんです。
だから今でもビンテージミシンの需要があるんですね!
そうです。昔は偶然の産物だったねじれが、結果的にデニムの味になった。今や、わざとねじれを作って縫うのが良い「アタリ」を出すコツであり、技術なんです。
デニム愛好家にはたまらないですね。
ビンテージミシンの圧倒的存在感
これは僕の親父が創業したときに買ったミシン。このビンテージミシンが置いてある工場は、今ではそうそうないんじゃないかな。
あえてビンテージミシンで縫った方がいい製品もあるんですか?
ありますよ。お客さんから「『ユニオン』でやってもらえる?」といったような依頼が入りますね。
ビンテージミシンって縫いづらいんですよ。作業性で見ると、普通のミシンのほうがやっぱり断然早いです。
では、ビンテージミシンが扱える人はもしかして少ないんじゃ…?
難しいですからね。感覚がいい人でも、習得するのに半年〜1年はかかります。
当社は、この「ユニオン」が使えるオペレーターの養成を目指しています。どんどんスキルアップしていってもらいたいので、社員登用も積極的に行っています!
ビンテージミシンで縫製体験!はたして未経験者でも縫えるのか!?
じゃあ安藤さん、早速「裾巻き」をやってみましょうか。
あのう…私、ミシンに触るのなんて中学校の家庭科以来なんですけど大丈夫なんでしょうか。
大丈夫!わからないことがあったらなんでも聞いてください。
ではやってみましょう。まずは見ていてくださいね。
フットペダルを踏みながら生地を動かしていきます。
(江草さん、さっきは目にもとまらぬ早さだったのにゆっくり縫ってくださっている…ありがたい…)
裾の一部分をこうやって折り返しておくと巻きやすくなりますよ。
江草さん、ちゃんとまっすぐ縫えている気がしないのですが…!
あぁ本当ですね。大丈夫ですよ。きれいにほどくコツがあるのでやり直せます。
あ、でも何度もやっていけばコツがつかめそう…。
江草工場長の優しいレクチャーにより、なんとか裾巻きに成功!当然まだまだのクオリティですが、毎日練習を積み重ねていけば未経験者でもできるようになることがわかりました。
ミシンが上達するコツはあるんでしょうか。
うまくなるには経験が一番ですね。重要なのは回数を重ねることです。会社としてのフォロー体制は万全だと思います。一緒にがんばりましょう!
なぜ未経験を積極採用するんですか?
社長にぶっちゃけ聞いてみた
ちなみに求人票に「経験不問」とあったんですが、どういう人と仕事がしたいですか?
入り方はなんでもいいので、ビンテージデニムの世界に興味を持ってくれたらうれしい。そういう意味では、仕事の「その先」を楽しめるような人と働きたいですね。
「その先」というと…?
「この部分はなんでいちいち縫わなくちゃいけないんだろう」と疑問に思ったら、デニムの構造全体にも興味を持ってもらいたい。一部だけを見つめるのではなく、業界全体に興味を広げてもらえたら最高に楽しいですよ。
なるほど。だからそれができる人は未経験者も積極的に採用したいということなんですね。
たとえば3年くらいうちでがんばってからメーカーに入れば、経験値的にかなりプラスになると思うんです。
そういったキャリアステップも社長的にはOKなんですね…!スタッフの方には長く働いてほしいものではないのでしょうか。
構わないです!うちで経験して、どんどんステップアップしてほしい。もし別のビジネスに興味がわいたら、うちでたとえばOEM事業を立ち上げてくれてもいいと思っています。
社長の考え方、めちゃくちゃ柔軟です…!
今、社宅を準備中です。たとえば「尾道や福山に移住したい」という人が当面の仕事として選んでくれるのもうれしいですね。まずはぜひ、気軽に遊びに来てもらえたら。
縫製業って敷居の高い仕事だと思っていました。こんなに気軽に門戸が開かれているんですね!
訪問を終えて
R&Dファクトリーが未経験者でも積極的に採用したいワケは、気軽に伝統産業に触れてほしい、ビンテージデニムの縫製現場を知った上でどんどん興味関心を広げていってほしい。そんな社長の想いがあったからだとわかりました。
縫製作業が自分のペースで習得できるのはうれしいポイント。今回の企業訪問により、ビンテージデニムが少し身近に感じられるようになりました。
備後地方の伝統産業・ビンテージデニムの世界を、あなたも少しだけ覗いてみませんか?
求人募集要項
企業名 | 株式会社R&D FACTORY |
---|---|
企業情報 | 本社:広島県福山市藤江町2131-1 支店:東京都渋谷千駄ヶ谷1-19-9 セルモビル千駄ヶ谷302 社員数:12名 設立:2015年 |
募集職種 | ①縫製オペレーター(正社員) ②縫製オペレーター(パート・アルバイト) ③生産管理・サンプル縫製(管理職) ④裁断士(管理職) |
給与 | ①縫製オペレーター(正社員) 160,000円~ ②縫製オペレーター(パート・アルバイト)時給931円~ ③生産管理・サンプル縫製(管理職) 160,000~180,000円 残業有 ④裁断士(管理職) 160,000~180,000円 残業有 |
勤務地 | 広島県福山市藤江町2131-1 |
勤務時間 | 8:20〜17:10 |
休日・休暇 | 変形労働時間制による週休2日制、国民の休日、年末年始休暇、夏季休暇 |
選考方法 | 書類選考→面接 |
新卒の可否 | 可 |
求人への応募はこちら
この記事を書いた人
求む、備後のビンテージ産業の担い手。R&Dファクトリーの挑戦
有名ブランドの縫製を手がける福山の縫製会社・株式会社R&Dファクトリー。備後の地場産業「ビンテージのものづくり」を絶やさないための挑戦が始まる。
PICK UP
おすすめ記事