求人特集

求む、未来の備後ビンテージデニムの担い手。株式会社R&Dファクトリー代表インタビュー

尾道市内から車を走らせること20分、「藤江町」というエリアに「R&Dファクトリー」という会社があります。

先代から縫製事業を継承し、有名なコレクションブランドやビンテージ系のブランドを手がける日本でも指折りのデニム縫製技術を持つ会社です。

そんなR&Dファクトリーが注目するのが、移住人材。社長の檀上氏は「移住者に働いてもらい備後のビンテージデニム産業を一緒に盛り上げたい」と語ります。

アパレル業界がコロナで変革を求められる中、R&Dファクトリーが積極的に人材を募集する理由や、同社の人材(職人)に対する哲学を聞きました。

檀上幸伸(だんじょうゆきのぶ)

1972年生まれ/広島県福山市出身/株式会社R&Dファクトリー代表取締役
プロジェクトリーダーとして「尾道デニムプロジェクト」の立ち上げに関わる。現在はコレクションブランドやビンテージ系ブランドの縫製を手がける株式会社R&Dファクトリーの代表を務める。

逆境のアパレル業界でR&Dファクトリーが求人募集する背景

R&Dファクトリーの工場で縫い上がった製品

ーー今回の募集の背景から教えてください。
2つありまして、1つ目は単純に仕事が増えているということなんですね。

コロナによって人とモノの流れが変わりましたよね。それは繊維産業だけじゃないですけど、繊維産業ではコロナでずっと言われていたことに拍車がかかったんです。

ーーというと?
エンドユーザーの購買行動が変化しました。実店舗での購入からネットでの購入にシフトしているというやつです。加速度的に。

その中で淘汰されるブランドが増えて、アパレルはもうダメなんじゃないか?と思われていますがそうではないんですね。

ーーコロナ禍でも希望はあったと。

一部のブランドは実店舗で失った売上を、ネット販売でカバーできるようになってきています。

どんなブランドかというと、備後エリアで生産されているビンテージ系のデニムを作り続けているブランドがネット販売に対応できています。

ーーそれはなぜですか?
リーバイスの501を想像してもらうとわかりやすいです。リーバイスの501と言えばデニムの定番ですよね。

501は10年前も20年前もあった訳です。501を履いていて買い替えようとなった時、サイズ感も品質も分かっているのでネットで買えちゃうんです。

日本でビンテージ系のモノづくりをしているブランドは、コロナでもほとんど売上を落とさなかったんですよ。

写真左/R&Dファクトリーの工場で黙々と作業する従業員 
写真右/R&Dファクトリーで現役で活躍する1960年台のビンテージミシン

コロナで廃業する工場も…。備後のビンテージのモノづくりが存続危機

ーーなのでビンテージの服を作っているR&Dファクトリーの仕事が増えていると。
加えて、これは備後の縫製産業全体の問題なのですが。

コロナの2年間でモノと人の流れが止まりましたが、備後の縫製産業は特に人の流れが止まったんです。

具体的には海外の技能実習生が来なくなった。ゼロになったんです。

それによって、実習生への比重が大きい工場は生産能力が1/10になるところも出てきました。当然廃業する工場も…。備後の縫製産業全体がシュリンク(縮小)しちゃったんです。

ーーそういう意味でコロナの影響は大きかったんですね。
備後が得意とするビンテージ商品の需要はあったんですが供給量が減ったので、生産能力を維持している工場にオーダーが集中しているんです。

ーーR&Dファクトリーも生産能力を上げたいからオペレーターさんを募集をすると。
うちは向こう2年くらいで生産能力を倍増していきたいと思っています。今R&Dファクトリーには12名のメンバーがいるのですが、2年後には20名くらいにしたい。

2年後仮にそうなってもまだ需要が勝っている市況じゃないかと予想しています。

ーーもう1つ求人募集する背景があると伺いました。
お話したように、備後はデニムとかビンテージのモノづくりのノウハウが残っているエリア
なんですね。

今、廃業する工場が出てきたりと、備後全体でビンテージのモノづくりができなくなる可能性が高くなっています。

世界でも備後にしかないモノづくりのノウハウが失われていっているんです。

うちのトップである工場長は60代なので、うちが持っている技術力を若い子たちに伝承していく必要があると思っています。

備後のデニム産業が“世界一”な理由

ーーそもそもなぜ備後はデニムやビンテージのモノ作りが盛んなのですか?
背景からお話すると、アメリカから日本にデニムのファッションやカルチャーが入ってきたのが1970年代なんですね。サーフカルチャーと言われる「リバーイスの501を履いて湘南の海にいく」みたいなスタイルです。

で、リーバイスの人気が出てきてリバーイスのデニムが枯渇するんです。

それに目をつけた某大手の商社マンが、当時リーバイスに生地を供給していたメーカーの倉庫であるものを発見します。

そこには規格外の生地が大量に余っていたんですね。

ーービジネスの匂いがします笑
商社マンがその生地を半値で買い取って日本に持ち帰り、(岡山県の)児島の縫製工場と組んで作ったのが「ビッグジョン」や「ボブソン」なんです。これが国産デニムの誕生です。

備後でデニム産業が発展した背景


ーーなぜ備後エリアだったんですか?

もともと備後絣(かすり)の産地であった備後で日本初のデニム生地が作られたのを機に、縫製工場などが設立されていき日本のデニムの産地として発展していきます。

その中でデニムのモノ作りのノウハウが継承されてきた備後だから、ビンテージのモノ作りが未だできるのだと思います。

ーー備後エリアのデニムを作る技術は日本一と言われていますね。

いや、世界一ですね。

ーー世界一ですか!?
間違いないです。

今から30年くらい前に日本でビンテージレプリカのブランドたちが立ち上がっていきます。

その時に(生産終了になった)リーバイスの代表的なビンテージのジーンズを解体し生地をリプロダクトし、当時のリーバイスを縫製していたビンテージミシンで再現しようとした人たちがいたんですね。

ーーマニアックな人たちがいたんですね。
この様な開発は本国のアメリカでも行われておらず、アメリカはデニムのモノ作りのノウハウを失っていきます。でも日本にはマニアックな人がたくさんいた。

60年、70年、80年のリーバイスという感じで研究していくんです。そうやって、生地屋さんとデニムの生地を作ったり、工場に縫製してもらって形を作っていくということを備後エリアはずっと繰り返してきたんです。こんなことやっている産地は世界でも備後だけですよ。

事業継承して生まれたR&Dファクトリーという会社

ーーR&Dファクトリーを設立した経緯は?
この30年間、日本の縫製業は激変しました。私の家系は祖父も父も縫製業を営んでいましたが、いわゆる、中国生産の台頭により廃業の憂き目に遭いました。

最後に残ってくれた社員さんに働く場を残したいという思いからR&D FACTORYを設立しました。あとは…自分なりに目指す縫製工場の姿もあったので。

有名ブランドも手がけるR&Dファクトリーの仕事内容

ーーR&Dファクトリーは会社としてどんな仕事をやっているのですか?
主にこのようなブランドの縫製を行っています。

ーーイッセイ ミヤケは僕でも知っています。業務としては具体的には何をするんですか?
ブランドから服の仕様書・パターンをもらってその通りのものを作ります。単純に思えるかもしれませんが、そこにモノ作りのノウハウがあるんですね。

ーーというと?
いただいた仕様書・パターンに対してどのミシンを使うべきか?ミシンのセッティングはどうすべきか?運針(ステッチの幅)はどれくらいがいいのか?など。そのあたりが工場としてのノウハウなんです。

例えば、同じ仕様書・パターンを複数の工場にオーダーしたとしても、上がってきた時の顔(テイスト)が違います。このブランドはどういう「顔」で上げて欲しいのか理解した上でミシンのチョイスをする。仕様書に書いてある通りではなく「こういう縫い方の方がいいんじゃないか」と提案でき、それを具現化できるというのがノウハウです。

先代の創業当時からあるビンテージミシン・ユニオンスペシャルの巻縫いミシン

ーーノウハウが有名ブランドからR&Dファクトリーが選ばれる理由だと。
たとえばコレクションブランドにはディテールはビンテージ系だけど、キレイめに仕上げて欲しいというニーズがあります。対してビンテージ系のブランドはウチのミシンなどの設備とセッティング、オペレーターの技術力を評価しています。

何が言いたいかというと、同じ5ポケットパンツでもコレクションブランドが望む「顔」と、ヴィンテージ系のブランドが望む「顔」はまるで違うんです。両極端と言ってもいい。工場として“幅”をもってモノ作りができるというのがウチの強みです。

金髪アフロでもいい。色々な人に働いてほしい

ーー会社として大切にしていることを教えてください。
工場としては、圧倒的に品質です。

モノ作りの要素としてQCD(Quality Cost Delivery)が言われたりしますが、一番大事にすべきはQualityです。

会社の方向性としては、工程の川上から川下までをミニマムで持っている、という会社にしたいと思っています。
縫製の品質を追求していきつつ、その価値観を持って商品企画(自社ブランドの開発)や販売(ECやPR戦略)を自社で行なっていける会社にしたいです。

すると開発力が強くなって、時代の変化に強い会社になれると思っています。

ーー檀上さんが人を集めて本当にやりたいことって何なんですかね?
何なんでしょうね笑 

でも、場作りみたいなところになるんだろうなと思います。

うちでは多種多様な人に働いてもらいたいんですよね。(例えば)金髪アフロのタトゥーバリバリみたいな人間が縫っていても格好いいと思うんです。

そういう人達が、細かいモノ作りのノウハウを身につけながら作っていくジーンズって格好いいじゃないですか。

R&Dファクトリーが考えるオペレーター(縫製職人)のキャリアアップ

ーーR&Dファクトリーはオペレーター(縫製技術者)は未経験歓迎とのことですが、どういう人が向いていますか?
手先が器用に越したことはないし、真面目な人が向いていますが、工場長に教えてもらえばみんな縫えるようになりますからね。

よりキレイに、より早く縫うということに面白みを持てる人だと誰でもOKです。

デニム縫製の花形の工程で「繍い」というのがあるんですけど、「(私って)巻繍いがめっちゃ上手い!」と自分で嬉しくなっちゃうような人は間違いなく向いています。

ーーR&Dファクトリーではオペレーターにどういうキャリアアップがありますか?
わかりやすいところで言うと、多能工という色々な工程ができるオペレーターさんを最高ランクに位置付けています。

あとは、縫う以外にもたくさんモノ作りのノウハウがあるんです。

ミシンのセッティング(調整)というような設備保全のノウハウもある。そういうことを学ぶのも1つの道です。

備後のビンテージデニム産業を一緒に盛り上げましょう

ーー管理職としてサンプル縫製のオペレーターも募集していますね。
サンプル縫製は全工程ができないとダメです。

服は量産する前にサンプルを作るんですけど、サンプルを縫えるのはうちでは工場長と他2人しかいません。

サンプル縫製もオペレーターが目指すべきところの1つだと思います。

ーーオペレーターとは別に「裁断士」も募集されていますね。
裁断士は縫製オペレーターとは業務が大きく違います。裁断士とは縫う前の布を切る仕事です。

裁断士はミシンは使いません。大きな生地を持つ作業もあるので男性のイメージが強い職種で、備後エリア全体で裁断士の人材が枯渇してきています。

ーーゼロからオペレーターになってサンプル縫製できるまでにどのくらいかかりますか?
どうでしょうか。センスのある子で2年とかですかね。

うちの工場長のレベルになるには10年くらいでしょうか。
サンプル縫製ができてミシンのセッティングもできる、このレベルだと5年10年の話になってきますね。

ーー最後に求職者の方にメッセージをお願いします。
ビンテージデニムに興味のある方はぜひお話しましょう。「尾道や福山に移住したい」という人が当面の仕事として選んでくれても嬉しいです。

これからの備後のビンテージデニム産業を一緒に盛り上げましょう。

 

求人募集要項

企業名 株式会社R&D FACTORY
企業情報 本社:広島県福山市藤江町2131-1
支店:東京都渋谷千駄ヶ谷1-19-9 セルモビル千駄ヶ谷302
社員数:12名
設立:2015年
募集職種 ①縫製オペレーター(正社員) 
②縫製オペレーター(パート・アルバイト)
③生産管理・サンプル縫製(管理職) 
④裁断士(管理職)
給与 ①縫製オペレーター(正社員) 160,000円~
②縫製オペレーター(パート・アルバイト)時給931円~
③生産管理・サンプル縫製(管理職) 160,000~180,000円 残業有
④裁断士(管理職) 160,000~180,000円 残業有
勤務地 広島県福山市藤江町2131-1
勤務時間 8:20〜17:10
休日・休暇 変形労働時間制による週休2日制、国民の休日、年末年始休暇、夏季休暇
選考方法 書類選考→面接
新卒の可否

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    この記事を書いた人

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    松崎敦史ANCHER編集長

    世界一周中にできた不思議な縁で2018年、家族4人で向島に移住。東京で編集者として勤務→フリーライター→書籍出版→ウェブメディア編集長とおもにコンテンツ畑を耕してきた。勝手に尾道水道観光大使。
    株式会社世界新聞代表。
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    求む、備後のビンテージ産業の担い手。R&Dファクトリーの挑戦

    有名ブランドの縫製を手がける福山の縫製会社・株式会社R&Dファクトリー。備後の地場産業「ビンテージのものづくり」を絶やさないための挑戦が始まる。

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