後藤峻(ごとうたかし)
1986年生まれ。京都府出身。
株式会社ディスカバーリンクせとうち所属/ONOMICHI SHAREコンシェルジュ。
2016年1月に尾道にIターン移住。
妻の地元の尾道へ。移住に「全く抵抗はなかった」
ーー尾道に移住したきっかけは?
妻が尾道出身なんですよね。妻とは大阪の大学で出会い、妻は卒業してそのまま尾道にUターン、僕は大阪で就職しました。それから5年くらい遠距離でした。
(移住する前年の)2015年から結婚と、尾道で暮らすことを考え始めました。
ーー結婚がきっかけだったんですね。当時の後藤さんの状況は?
大阪の印刷会社で営業として働いて3年目でした。
当時29歳で30が見え始めた時に、結婚して(ふたりの)フェーズを進めるなら自分が尾道に行くのが話が早いと思ったんですよね。
ーー話が早いとは?
妻は尾道に帰って地元の企業で働いていたので、お互いを比べて僕の方が仕事の区切りがつけやすかったという感じです。
ーーとはいえ、知らない土地に移住するのは抵抗があったのでは?
いえ、抵抗はなかったです。それまでフランスに行ったり、一人旅をしていたので異文化に入ることに抵抗はなかったです。
ーーでは、尾道に移住するのに迷いはなかったと。
ごく自然な選択でしたね。「じゃ、僕が行こうか」くらいの。妻の実家もあるし、なんとでもなるだろうと。
偶然が重なりONOMICHI SHAREで働くことに
ーーONOMICHI SHAREで働くことになった経緯は?
(移住する前年の)2015年にONOMICHI SHAREであるイベントが開かれていたんですね。妻に会うためにたまたま尾道に居たので、ONOMICHI SHAREを訪ねてみたのがはじまりでして…。
ーー何があったんですか?
ONOMICHI SHAREのカウンターにいたスタッフと話していたら、大学の後輩ということが分かったんです。「すごい偶然やなぁ」と盛り上がって。
ーーほうほう。それで?
いよいよ移住が近づいてきて、仕事どうしようかとそのスタッフに連絡をとったら、ちょうどONOMICHI SHAREの専任スタッフを探していると。
ーーすごい話ですね。そのスタッフがいなかったら、シェアに入っていなかったかもしれませんね。
大学の後輩だから気軽に連絡できたのはあったので…。その話をキャッチできなかった可能性はあったと思います。
ーー2016年に入社されたそうですが、今から6年前だと(運営元の)ディスカバー(※註)はノリノリの時期ですか?
ディスカバーリンクせとうちとしてはこの時期に、尾道デニム、尾道自由大学、BETTER BICYCLESと、地域内で事業が出揃いました。事業が走り始めて盛り上げていこうという時期だったと思いますね。
※註 株式会社ディスカバーリンクせとうち
正解のない「コンシェルジュ」という仕事
ーー後藤さんはONOMICHI SHAREで「コンシェルジュ」として働いていますが、コンシェルジュとは?
1 尾道を訪れた人の目的を達成するためのサポート
2 デスクワークする人が円滑にビジネスを進めるためのサポート
3 尾道の情報や、尾道にアクセスするための情報提供
この3つがベースかなと考えています。
ーーこれは後藤さんが考えた?
はい。マニュアルはなかったですから笑
入った時に教えられたのはレジ打ち、日報、清掃やコーヒーの出し方くらいでした。
コンシェルジュって何をするの?ということに誰も答えは持っていませんでした。
ーーだから作ったと。
他のコワーキングスペースに話を聞きに行ったり、コンシェルジュと名のつく人の仕事を見に行ったりしました。
ーーコンシェルジュというと聞こえがいいけど、僕も実際後藤さんを見ていてハードワークなんだろうなと。
仕事は…いろいろありますね。施設のなかでやれることに加えてイベントや企画などもやることになりますから。
ーー後藤さんはいつも誰かの相談に乗っているイメージがありますが、実際は雑務的なことも多いのですか?
ですね。トイレットペーパーを発注したり…。
でも僕は、プライオリティとしてはそっちが高いんですよね。ペーパーが発注できなくなったら終わりじゃないですか。みんな困るし。掃除をする方が大事なんですよね、本当は。
ーー人の相談に乗ったり(人と人を)繋ぐのはコンシェルジュの仕事の一部だと。
尾道の外からきた人に「こんなプロジェクトがあるから一緒にどうですか?」というようなお声がけがあって業務が生まれることもありますが、そっちばかりになっちゃうと、掃除が行き届かなかったり、施設に来られた方とお会いできなかったりと本来やるべきことがまわらなくなるんですよね。
50歳になった時、どんな自分でいられるか
ーー後藤さんが仕事を頑張れるモチベーションは何ですか?
移住する前に父方の祖父母が亡くなったんですよね。ずっと家の大黒柱だった人を失って「いよいよ自分らで頑張らなあかん」と生きる覚悟がついたんです。
ーー覚悟ってなかなかできないですけどね…。
このまま尾道に移住して、普通のサラリーマンで何もしないまま歳をとったら、何のために移住したんだろうと…。
僕が50、60歳になった時、両親を介護しないといけない状況かもしれません。そうなると、尾道を離れる時間も増えると思うんです。
その時に自分はどんな仕事ができているか?社会に役立つ自分になっているか?結構大事なことだと思っています。
ーーそこまで先のことを考えているんですね。
尾道に移住しても、そこを見越して立ち回らないと、何もしなければ自分が腐っていくなという危機感はありました。
尾道で最終的に取り組みたいこと
ーー後藤さんは今後のキャリアをどう考えていますか?
僕が最終的にやりたいことは、コミュニケーションという領域なんですよね。
尾道で人と人を繋いでいても、僕が関心があるのはどうやったら円滑に繋げるか、どうしたら互いの目的や悩み事がスムーズに解決できるかというところにあります。
ーー繋ぐこともそうだけど、そのやり方自体に興味があると。
尾道で仕事をしてきて、ちょっとずつ自分の中でやり方が見えてきているんです。なので、将来的にはコミュニケーションのサポートとかもやってみたいです。
2年で80人にインタビューして見えてきたこと
ーー具体的に言うと?
例えば、オノミチシェアチャンネル(後藤さんが尾道の人にインタビューするライブ配信)というのをやっているんですが、2年で80人やらせてもらいました。コロナ禍で尾道の面白い人を外に発信するために始めたんですけど、主に尾道の人が見てくれているんですよね。
ーーシェアチャンネル、そんな感じはしていました。
シェアチャンネルを見た人が、「お店行ってみたよ」とか「あんなおもしろい方がいるんだね!」とか、「後藤くん(この前チャンネルに出ていた)あの人と繋いでもらえない?」と地域内のコミュニケーションが活性化してきたように感じられたんです。
それって、地域にある面白い人やサービスが見えることで、それまで知らなかった誰かに届くことになれば、その先もいろいろなきっかけが増えていくということじゃないですか。それがすごく面白いなと感じられたんです。
ーーそんな相乗効果があったんですね。
そういったコミュニケーションの部分を整理してなにか形にはしてみたいです。それがカウンセラーとしてなのか、あるいはコンサルではないけど提案したり、組織に対しての改善支援なのかはわからないですけど。
「シンプルで合理的な」尾道でのライフスタイル
ーー後藤さんは移住してからずっと今のマンション(新尾道駅から徒歩5分位/2DK)に住んでいるそうだけど、気に入っている?
苦がないですね。僕らは空き家に住みたいわけでもなかったから、結婚して生活ができればよかったんです。
ーー仕事で色々な場所に出向くと思うけど移動は?
普段の移動はバイクですね。必要になったらカーシェアを利用します。スマホで予約して乗って行けるので便利ですよ。これで6年過ごしていますが、移動には全く困っていないです。
尾道に移住して思う「あったらいいな」
ーー都会に比べて、尾道のここはデメリットだな思うところは?
個人的に一番あって欲しいのになんでないねんと思っているのが夜カフェですね。
ーー夜カフェ??
夜カフェなくないですか?22〜23時頃まで居れるカフェなくないですか?
ーー確かに。でも、そんなに夜カフェに行きたい?笑
僕、アルコールなくてもいいんですよ。バイクも乗るし。となると夜に行くとこがないんですよ。
ーー東尾道のコメダとかは?
21時までですね。
ーー知り尽くしてるね笑。
あと、HUBみたいな空間があったらいいなぁと。
ーーアイリッシュパブの?
そうです。パブみたいなキャッシュオンでビール頼んでテキトーにグダグダ飲める場所があればいいな。
ーーテキトーとは?
何て言えばいいのかな。ふらっと入れてテキトーに飲んで、たまに人に会えるような感じの、もう少し個人でいれて自由になれる場所があったらいいなと。
ーー後藤さんならではのニーズかもしれないですね。尾道に知り合いが多い後藤さんは準公人だから。
準公人ですか?よくわからないですけど笑、気を使わずにゆっくり飲める場所があったら完璧ですね笑
ONOMICHI SHARE
〒722-0035 広島県尾道市土堂2丁目10-24
TEL:0848-38-2911
営業時間 9:00-18:00
HP:https://onomichi-share.com/
後藤さんおすすめのお店「ホテル港屋」
「ホテルの1Fがスナックみたいになっているんです。地元の人しかいないのでめっちゃ入りにくいけど、尾道で一番ディープなお店だと思います。地元の人と飲めるのは楽しいですよ!(実はボトルキープしてます!笑)」
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