大和ハウスのCM「レモンでつながる編」を、ご覧になったことはありますか?
CMに出てくる料理が「あんなの見たことない!すっごい美味しそう!」と、全国で話題に。
真相(味!?)を確かめるべく、生口島の「ごちそうの森」に行ってきました!
あかねちゃん、大和ハウスのCM見た?
生口島で撮影していて、移住者の女性3人が出演してるんだけど…
登場してくる料理がさ、スゴいわけよ。
スゴい?何がスゴいんですか?
CMはこちら
やばい!リアルジ○リ飯じゃないですか!
うま、、美味しそうすぎる…。
この料理を提供している「ごちそうの森」で今度、とある宴が開かれるみたい。
なんでもその宴では日も明るいうちから、大人たちが山で遊んでいるらしいよ。
よかったら潜入取材に…
行く!行きます!
取材って、指咥えて見てるだけじゃないですよね?
この“スゴい料理”を食べられるんですよね…!?
よし!さっそく行きましょう!今すぐ行きましょう!
自然について学びながら山道を30分。ごちそうの森へ
ーーー後日
麓の集会所に車を止めると、人が集まっている。
ここから山の上にある「ごちそうの森」まで代表の祥子さんが案内してくれるそうだ。
集まる人たちは、ただならぬオーラを放つ人たちばかり…(これが覇気…?)
きっと、企業で重要な役割を担う偉い人たちだ(じゃないとこんな平日の昼間から集まれるハズがない)…!
やばい、いっそリクルートスーツ着用で参加すべきだった…。
ソワソワしていると、はつらつとした声の女性が登場。
おはようございまーーす!
みなさん、揃ってますか?
それじゃあ、行きましょうかー!
おはようございます!
(げ、元気!そして展開が早い!)
じゃあ、ここから30分くらい山を登っていきます!
頑張りましょうー!
(運動不足だけど、30分も山を登れるのか…!?)
すごい!あちこちにレモン畑がありますね!
生口島といえば、レモンの島と言われていますよね。
ちなみに、尾道の選果場では、レモンを含め69種類もの柑橘が出荷されています。
69種類の柑橘…!?10種類くらいしか思いつかない…!
山手線ゲームしたら、確実に負けちゃいますね…。
これから山を登っていきますよー!
えっ…!(すでに10分でヘトヘト)
山を歩きながら、草や木の種類、猪が掘った穴など、それぞれの役割について教えてくれる祥子さん。お子さんを抱えたまま、喋りながら山道を登る祥子さん…すごくない…?
一度人の手が入った山は、このように荒れてしまいます。
現代人は自然に敵対意識を持つ人が多くて、雑草が生えると根こそぎ草を刈り取ったりしますが、それを続けてもイタチごっこなんです。抗っていばらのような草が生えたり、木が生い茂ったりして、どんどん荒れてくる。
自生する草や木も、自然界から見れば必要だからそこに存在しているんです。
狩猟した猪のフルコースが食べられる「ごちそうの森」
祥子さんの説明を聞きつつ、なだらかな山道を登ること約30分。
目的である「ごちそうの森」に到着!
みなさんお疲れ様です!到着しましたよー!
え!?めっちゃくちゃ広い!一体どこからどこまでが「ごちそうの森」なんですか…?
広さは約5haあります。
ここはもともと「瀬戸田農場」という場所で約150頭の牛が育てられていました。
私は、前職の食品会社に勤めていた時に大阪から移住してきて、ここで牛の世話をしていたんですよ。
5ha…(大体、東京ドーム1.0694043417816個分らしい)
こんな膨大な土地を購入したきっかけはなんだったんですか?
あの牧場辞めたらしいよって、話を聞いて。その時は生口島で知り合った男性と結婚してもう会社は辞めていたんですけどね。
あの土地空いてるんか…って思ったら気になって気になって仕方なくて。今から3年前に土地を購入しました。
行動力がすげぇっす…。
CMで見た“スゴい料理”とついにご対面!
なんですか、この素敵空間は…!
牧場で働いていた時は、ここの2階に住んでいたんですよ。
じゃ、狩猟した猪と地元農家の野菜を使った料理をチャチャチャッと用意しまーす!
あの、狩猟って、誰が?
私でーす!
そう、ここ「ごちそうの森」では祥子さん自ら狩猟した猪のフルコースが食べられるのです!
子供を抱えたまま、着々と料理を仕上げていく祥子さん。抱っこ紐で抱えられたお子さんはぐっすり…パワフル母ちゃんを目の当たりにする…。
キャーーー!!!CMで見たやつだー!!
食べる前から美味しいです!
えーと、たくさんお肉がありますがどれが猪肉ですか?
ぜーんぶ猪肉です!
あ、え、それは失礼しましたっっ!
どの猪も美味しく食べられるように、個体差や部位によって調理法を変えています。
ソーセージに、ハムに、こっちはトンカツ…じゃない…猪カツ!?
猪肉でこんなにバラエティのある食べ方が出来るとは驚きました。
今まで食べた猪肉って、燻製していたり、濃い味付けをしていたり…ぶっちゃけ猪の特有の匂いを紛らわせる調理が多かったけど…祥子さんの料理はすっごいシンプル!
最低限の調味料だけで、肉本来のうま味が感じられます!
さーて、
骨付きロース肉も焼けましたよー!
骨付きロース肉!?
はい!はい!ください!
このプリッとした脂身の部分、歯ごたえと甘みがあって美味しい…!
部位ごとに猪肉を食べるのって初めてかも!
猪1匹を捌いて調理しているからこその楽しみ方ですね。
普通のシェフは美味しい食事を作るために精肉店から食材を仕入れるけど、私は目の前にある美味しい食材をどう生かして調理するかを考えているから、バラエティも自然と豊富になるんです。
祥子さんに調理された猪は幸せな気がしました。
私たちも、“猪をごちそうしてもらう”という体験ごと味わうことができました。
みなさん何者?宴の真相
みなさん、非日常の料理を前に話に花を咲かせています。
聞けば、某大手飲料メーカーの重役、香川県の酒屋さん、大学教授など県外から来られた方ばかり。
主催者である因島で「たくま商店」というラーメン屋を営む岡野さんによると、
「祥子ちゃんにケータリング料理を頼むことがあって、それを食べた人が『ごち森』に行きたいってなって、じゃあ数人に声をかけて行こうかーって流れ」
ってそんなにゆるーい流れだったんですね(笑)。
長光祥子さんに聞く「森から暮らしをつくる」
長光祥子さん
大阪府生まれ。2010年、食品会社の転勤で生口島に移住。猪ハンター、パワフル母ちゃん、柑橘農家のお嫁さん…などさまざまな顔を持つ。2020年に牛小屋をリノベーションし「Feast Forest project 生口島ごちそうの森」の活動を始める。
ーー祥子さんは、生口島に移住されて14年になるそうですね。移住のきっかけになった出来事はなんですか?
大阪に住んでいた時に、食品流通関係の会社に勤めていました。
学生時代から農泊ボランティアに参加するなど生産者側になりたいといった思いが強く、(前職で)生口島で畜産牛を育てる瀬戸田農場への長期研修に参加したことが移住のきっかけです。
ーー願ってもないチャンスだったということですね!生口島へ移住してみてどうでしたか?
わたしの地元は大阪の市街地で、いわゆる“田舎のおばあちゃん家”のように自然にふれることができない場所で育ったため、自然豊かな場所での暮らしに強い憧れがありました。
また、同時に念願の田舎暮らしをしてみて、自然のことを何も知らないという未熟さも痛感しました。
ーー今の祥子さんからは想像できないですが、そんな時があったんですね。
すぐそばにある山や自然をどうやったら知ることができるんだろうって悩んでいた時に、猟友会のおじさんに出会ったんです。
弟子にしてほしい!って頼んで、翌日には一緒に山に入ることになりましたね。
80歳くらいのおじいちゃんなんですけど、すごいスピードで山をぐんぐん進んでいくんです。その脚力についていくのに必死でした。
名前も知らなかった雑草が薬草になることを知ったり、猪の歩いた獣道を見たり。自然との共存って、生きるって、こういうことなんじゃないのかなって、感動しっぱなしでした。
この時の喜びは、ごちそうの森を始めたベースになっています。
ーー「山を知りたい」との思いから、猟師に弟子入りするって発想が祥子さんらしいですね!「ごちそうの森」では主にどんな活動をされていますか?
「森から暮らしを作る仲間を増やす」をコンセプトに、自然との共存を一緒に考える時間を提供しています。
会員制を基本としていて、猪の解体ワークショップ、料理を作るワークショップなどを行っています。
今日みたいにケータリング料理を振る舞うこともあります。
ーー今日のお料理、特に猪が感動するくらい美味しかったです。
猪を美味しく食べてもらえるように、食肉加工の技術は独学で覚えました。
猪は、丁寧に処理されていれば臭みはほとんどないんです。肉質に合わせた調理を行うため、肉本来の美味しさを生かすことができます。それまで「猪は苦手」って言っていた人にも「美味しい!」って食べてもらえるんですよ。
ーー「ごちそうの森」はこれからもっと発展していきそうですね!今後の展望はありますか?
倉庫の周りに果樹の木を植えたり、畑をしたり、もっと森っぽくしていきたい思いがあります。
短期間で田舎暮らしや自然との共存を学べる宿泊施設を作るのも良いなといろいろと想像しています。
「知らない」「わからない」から自然に対する敵対意識が強い人も多いと思います。「ごちそうの森」での体験を通じて、自然を近くに感じる喜びを伝えていきたいですね。
暮らしと仕事、切り分けて考えたくない
ーー3児の母でもある祥子さん。猟師、ごちそうの森、お母さん…ぶっちゃけ大変じゃないですか?
大変ですね〜!大変って思うことは多いです。
猪もいつ捕獲されるかわからない。血抜きまでのスピードで味が悪くなるから、早く解体してあげたいって思うし…。
実際、今日の仕込み中にも幼稚園からお迎え要請の電話がかかってきました。「今〜!?」ってなりますよね。
子どものことに関しては、主人が柑橘農家で時間に融通がきくという部分もあるから、だいぶ助けられていますね。
ーーそれは壮絶ですね…。
ただ、全てを切り分けて考えたくないって思いがあるんです。
例えば、未産の猪は、猪のなかでも特別美味しいって言われています。
そういった猪は高値で売れるから、商品として販売する猟師さんが多いんですね。でも、私は本当に美味しいものこそ家族に食べてもらいたいんです。
「猪は処分するためのもの」じゃなくって、美味しいから食べるってポジティブに感じてもらいたいんです。
ーー翔子さんのご家庭では、自然と“森から暮らしを作る”時間が作られているんですね。
お話を聞かせていただきありがとうございました!
そして、ごちそうさまでした!!
生口島 ごちそうの森
この記事を書いた人
PICK UP
おすすめ記事